~日本語を使って働くベトナム人に贈る~ IT関連用語をまとめてみた(ベータ版)

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今回は、日本語で仕事をするベトナム人向けに記事を書いてみました。ということで、この記事も日本語で書きます。決して、英語で書くのが面倒になったわけではありません。

最近、たまたまIT用語をまとめていたので、もういっその事ブログに公開しようということです。ざっと洗いだしただけなんで、まだまだ足りない部分はあるかとは思いますが、何かの参考になればと。

書いているうちに記事の内容が無駄にボリューミーになってきたので、興味がなければ一気に一番下までスクロールして下さい。

この写真は・・・なんでしょうねw 自分で撮ったんですが、忘れました。こういう電線の入り乱れ具合が結構好きだったりします。

まず、背景からざっと僕の所感を書いておこうと思います。あくまでも個人的所感なので、弊社の正式な見解でも、科学的な実証に基づいた見解でもありませんのでご注意下さい。

 

 

開発現場における通訳・翻訳の問題点

外国人と通訳を介して開発業務をやったことがある人であれば誰しもが経験する「技術的な内容であればあるほど伝わらない」状況ですが、それは下記のような事情により「まあ、そりゃそうなるわ」と、ある程度の理解がされている部分であったりもしています。

  • 技術者サイド ・・・ 技術的な内容を詳細に伝えたい
  • 通訳サイド ・・・ もともとITの勉強してきたわけじゃないし、専門的なことを言われてもわからない

 

日本人同士のコミュニケーションでも、IT系の開発に関わったことない人に「プルリク(プルリとどっちが一般的かは置いておいて)してGithubでコードレビュー」なんて言っても「は?」と言われるのと同じです。

そもそもIT用語はアルファベット(というか英語)が大半だったりするので、じゃあ英語で伝えちゃったらいいじゃん、となりがちなのですが、とは言え、日本人もベトナム人もお互い英語のネイティブではなく、むしろ苦手な部類に入ると思うので、お互い悶々とするわけです。

通訳と言われる人たちがIT専門家でないことは誰もが認識していることなので、「教育だ!」という話になるのですが、それに関しては後述しようと思います。

 

 

通訳か、BSEか論争

じゃあ、日本語がわかる技術者だ!BSEか!とはなりません。そもそも土俵が違います。求められる役割が違います。

開発現場でコミュニケーションというものは無くてはならないものですが、その必要性の割にBSEと呼ばれる技術者の数は圧倒的に少ないので、ベトナム人と日本人のコミュニケーションの問題解決のためにBSEに頼っていては、彼/彼女たちに負荷が集中し、インフラ的にいえばシングルポイントになりがちで、とても効率的と言えるものではなりません。

僕の考えでは、BSEの役割はあくまでも「発注者である日本側の意図を汲みながら、システム/ビジネスの両面から、日本側が作って欲しいと思っているものと、ベトナム側の開発チームがつくろうと思っているものを限りなく一致させる」ことであるべきで、コミュニケーションも当然その手段の一つではありますが、一つ一つのコミュニケーションを必ずしもBSE自身がやる必要はないと思っています。

 

 

共通言語は日本語か、英語か論争

次に、共通言語として何を使うかという点なのですが、一番理想なのは全ての業務を英語でやってしまうことです。その理由は下記です。

  • 日本人もベトナム人も一般的にそれなりの英語教育を受けており、基礎的な英語力は殆どの人がもっている
  • IT関連用語がそもそも英語に由来しているものが多く、技術的な会話との親和性が高い
  • 日本・ベトナム以外の国でも使える

 

ただし、下記の事情により、共通言語を全ての英語にすることは余程の決断をしない限り難しいというのが実情だと思います。

  • 「基礎的な英語力」では満足な会話が出来ない
  • お互いにネイティブではないので、大体は伝わるが、細かいところまで伝えきれない
  • 日本人もベトナム人も訛りが強く、且つ、癖が真逆(ベトナム語は語尾が消える、日本語は語尾まではっきりと発音する)のため、単語レベルで聞き取れないことがしばしばある

 

また、現地法人では開発関連のコミュニケーションの他に、人事/経理/法務関連の業務に関してもベトナム人スタッフ、あるいは外部企業とコミュニケーションを取る必要があり、それらすべてを英語でとなると、それこそ「自分は専門じゃないのでわからない」という状況に陥りかねないという面もあります。

ということで、結局はケースバイケースになると思います。弊社では下記のようになっています。

  • 海を越えた会話 → ChatworkSkypeでBSEを介して日本語
  • 現地での会話 → 英語
  • 基本設計書 → 英語
  • 詳細設計書 → ベトナム語を日本語に翻訳
  • テストケース → 英語
  • 開発業務以外 → すべて通訳を介して日本語

 

 

通訳に対する日本語教育

やっと本題に入りかけているのですが、先ほど述べたように通訳はITの専門家ではないにせよ、開発の現場で働く以上、ITに詳しくなってもらう必要があります。で、どうしようかなぁとここ数週間考えていたのですが、結論として「教育」まではする必要なくない!?というものです。

前提として、ベトナムで通訳業務を出来る人達は一般的に日本語能力試験のN2以上の資格を持っています。

日本語の文法も理解していますし、日常会話は問題ない程度の語彙力はありますし、日本語のネイティブが普通の早さで話しても問題ない程度の聞き取り能力もありますし、発音も問題無いです。

ではなぜ開発業務関連の内容が伝わりづらいのか?

専門用語がわからないからです。知らない単語が多いだけです。したがって、知らない単語を知ることができれば、コミュニケーションはよりスムーズになるはずです!

※未検証です。

※あくまでも上記問題点に対して「教育」レベルのものを施す必要がないのではないかという話であり、教育そのものが企業にとって重要な課題であることは言うまでもありません。

 

いままで知らなかったIT関連用語を知るために

単語の勉強の仕方は色々あると思うのですが、とりあえず、下記条件が満たされればいいかなということで、Google Driveのスプレッドシートに用語集を作ることにしました。

  • 必要十分な用語が列挙されていること
  • 業務時間中はいつでもアクセスできること
  • 知りたい単語を検索できること
  • 関係者が追加、編集を簡単にできること

 

IT関連用語リスト(ベータ版)

「ベータ版」と言い訳がましく書いたのは、リストのメンテナンスは僕だけでなく、通訳やBSEと一緒にやっていきたいなぁという僕の願いが込められていますw

下記に、現時点で弊社内のスプレッドシートにまとめた用語を公開します。

※説明がかなり雑なので、決して技術者向けてはありません。

カテゴリ

単語

読み方

英訳

通訳向け説明

インフラインフラinfrastructure
インフラ冗長化じょうちょうかredundancyシステムを構成するサーバやネットワーク機器は必ず故障する。故障してもサービスは止まらないように、これらの機器に「余裕」を持たせておく仕組み。
インフラ冗長構成じょうちょうこうせいredundant structure上記「冗長化」を施したシステム構成
インフラ監視かんしmonitoringシステムリリース後に、システムが正常に動作していることをチェックし続け、万が一以上が発生した場合は技術者に知らせる仕組み。
インフラAWSえー だぶりゅー えす訳す必要はありません。そのままでいいです。Amazonが提供するクラウドサービスの名前です。
インフラEC2いー しー つー訳す必要はありません。そのままでいいです。
その他検証けんしょうverification
その他利用規約りようきやくterms of service
その他改行line feed
その他文字コードcharacter code文字や記号をコンピュータ上で処理するために割り当てられている数字、あるいはその規格。文字をコンピュータ上で処理される規格は一つだけじゃありませんよ、位に覚えていて下さい。
その他HTMLえいち てぃー えむ える訳す必要はありません。そのままでいいです。
ただし、ハーテーマーラーと発音しても通じません。
その他HTTPえいち てぃー てぃー ぴー訳す必要はありません。そのままでいいです。
ただし、ハーテーテーペーと発音しても通じません。
その他SSHえす えす えいち訳す必要はありません。そのままでいいです。
その他SSLえす えす える訳す必要はありません。そのままでいいです。
その他非同期通信ひどうきつうしんasynchronous communication画面上でユーザが何らかのアクション(ボタンクリックとかリンクをクリックとか)に同期して、一部の表示のみが更新される仕組み。インターネットで表示に時間がかかる際、画面上にクルクルが表示される、あれだと思っておけばほぼ間違いない。
ソフトウェア制御構文せいぎょこうぶんcontrol syntaxプログラムの文法。プログラムも「言語」なので、当然、文法もあります。
ソフトウェア演算子えんざんしoperatorプログラム上に記述される記号。=とか<とか+とか。
ソフトウェアバグ修正bug fixing
ソフトウェアフレームワークふれーむわーくデータベースへのアクセスなど、プログラムを書く上でよく実装する機能を既存の機能としてあらかじめもっている、土台となるプログラム。これを使用することで、開発チームはシステムの機能そのものの実装に集中することができる。
様々なプログラミング言語で、様々なフレームワークが公開されている。
ソフトウェアPHPぴー えいち ぴー訳す必要はありません。そのままでいいです。プログラム言語の名前です。ぺーはーぺーと発音しても日本人には通じません。
ソフトウェアRubyるびー訳す必要はありません。そのままでいいです。プログラム言語の名前です。
ソフトウェアCしー訳す必要はありません。そのままでいいです。プログラム言語の名前です。
ソフトウェアC++しー ぷらすぷらす / しー ぷらぷら訳す必要はありません。そのままでいいです。プログラム言語の名前です。シーコンコンと発音しても、慣れている日本人には通じます。
ソフトウェアLinuxりなっくす訳す必要はありません。そのままでいいです。OSの名前です。ただし、日本人には「りなっくす」と発音しないと通じません。
ソフトウェアPascalぱすかる訳す必要はありません。そのままでいいです。プログラム言語の名前です。
ソフトウェアJavaじゃば訳す必要はありません。そのままでいいです。プログラム言語の名前です。
ソフトウェアCentOSせんとおーえす訳す必要はありません。そのままでいいです。OSの名前です。
ソフトウェアAndroidあんどろいど訳す必要はありません。そのままでいいです。OSの名前です。
ソフトウェアiOSあいおーえす訳す必要はありません。そのままでいいです。OSの名前です。
ソフトウェアcakePHPけーく ぴー えいち ぴー訳す必要はありません。そのままでいいです。PHPのフレームワークの一種です。
ソフトウェアZend frameworkぜんど ふれーむわーく訳す必要はありません。そのままでいいです。PHPのフレームワークの一種です。
ソフトウェアSymphonyしんふぉにー訳す必要はありません。そのままでいいです。PHPのフレームワークの一種です。
ソフトウェアCodeIgniterこーどいぐないたー訳す必要はありません。そのままでいいです。PHPのフレームワークの一種です。
ソフトウェアRuby on Railsるびー おん れいるず訳す必要はありません。そのままでいいです。Rubyのフレームワークの一種です。よく、「Rails」と省略したりします。
ソフトウェアPHPUnitぴー えいち ぴー ゆにっと訳す必要はありません。そのままでいいです。PHPで単体テストを行い易くするためのツールです。
ソフトウェアRSpecあーる すぺっく訳す必要はありません。そのままでいいです。Rubyで単体テストを行い易くするためのツールです。
開発プロセス調査research
開発プロセス運用フローoperation flow
開発プロセス要件定義ようけんていぎrequirement definition
開発プロセスシステム設計system design
開発プロセス基本設計basic design
開発プロセス機能一覧function list
開発プロセス画面一覧screen list
開発プロセスユースケース図usecaseこれから開発するシステムをユーザが実際に使用するのかを図式化したもの
開発プロセス共通設計common design
開発プロセス画面標準screen regulations
開発プロセスコーディング規約coding conventionsある1つの機能を実現するプログラムの書き方は1通りとは限らない。むしろたくさんある。プログラマによって好きな書き方で書かせると、他の人が全く理解できないプログラムが大量に生産されることになる。この状況を避けるために、システム開発を開始する前に、書き方のルールを設ける。それがコーディング規約。
開発プロセス内部設計internal design
開発プロセス外部設計external design
開発プロセス詳細設計書しょうさいせっけいしょDetailed design document
開発プロセス機能定義書きのうせっけいしょfunctional definition
開発プロセステーブル定義書table definitionデータベースを構成する「テーブル」がどういう構造をしているかを説明する資料
開発プロセス画面イメージscreen imageアプリケーションのインターフェイス上にどういうものが配置され、それらがどういうアクションを起こすのかを記載するドキュメント。ここにボタンがあって、それを押すと○○の画面に遷移して・・・ということが、図と文字で説明される。
開発プロセス画面フローscreen transition diagram画面の遷移を図式化したもの。これをみれば、どの画面からどの画面に遷移できるのかがわかる。
開発プロセス入力項目定義entry format definition
開発プロセス実装coding
開発プロセス単体テストunit testプログラムの関数単位で正しい動作をするかどうかを確認するためのテスト。
開発プロセス結合テストjoined testシステム開発は一般的に小さい機能に分割して開発を進める。その各機能を結合した時に正しく動作するかどうかを確認するためのテスト。
開発プロセス運用テストoperation test
開発プロセス受け入れテストacceptance test
開発プロセス運用operation
開発プロセス工数man-hour / man-monthシステム開発にどれくらいの時間と人が必要かを表す指標。開発するシステムの規模を数値化したもの。
開発環境Net Beansねっとびーんず訳す必要はありません。そのままでいいです。プログラムを書くためのツールです。
開発環境Eclipseえくりぷす訳す必要はありません。そのままでいいです。プログラムを書くためのツールです。
開発環境SVNえす ぶい えぬ訳す必要はありません。そのままでいいです。ソースコードバージョンを管理するためのツールの名前です。
開発環境Subversionさぶばーじょん訳す必要はありません。そのままでいいです。ソースコードバージョンを管理するためのツールの名前です。SVNと同じです。
開発環境gitぎっと訳す必要はありません。そのままでいいです。ソースコードバージョンを管理するためのツールの名前です。
開発環境Githubぎっとはぶ訳す必要はありません。そのままでいいです。ソースコードレビューに使用します。
開発環境Redmineれっどまいん訳す必要はありません。そのままでいいです。開発メンバーのタスクやバグを管理するためのチールの名前です。
開発環境Jenkinsじぇんきんす訳す必要はありません。そのままでいいです。開発の自動化を助けるためのツールの名前です。
契約受託開発entrusted development / outsourcing
契約委託いたくcommission
契約契約書contract

 

以上です。

間違いなどあれば、コメントやメールでご指摘いただけると幸いです!

 

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